第32章 『S系女子のいいわけ』 日向翔陽 R18
「おはよ…どうしたの。」
大学の講義室。
一番後ろの角に陣取ったわたしの隣の席に座ったのは、友人である奈々花(ななか)。
ボブにした髪の毛を耳にかけながらそう問う彼女の方を向きながらわたしは溜息混じりに話す。
「彼氏のえっち、激しすぎる件について。」
「あー、最近できた年下彼氏?」
「そう。昨日泊まりに来たんだけど、拒みきれなくて結局3回…」
「お疲れ。でも上手いんでしょ?えっち。」
「まあね…」
上手いから困るんですが…
ちなみに3回って翔ちゃんがイった回数。
わたしは前戯で5回、ナカで4回…
最後は気絶で寝ちゃったのよね…
…まあ、体力おばけの翔ちゃんはわたしが起きる前に起きて、簡単な朝ごはんを準備してくれていたんだけど…
ご飯に焼き鮭、少し形が崩れた甘い卵焼きにほうれん草のおひたし、きのこたっぷりお味噌汁。
朝からたくさん食べれないわたしの前で、翔ちゃんは昨日うちに来る前に買って来た納豆をどんぶりに盛ったご飯にかけてもりもり食べてたっけ。
翔ちゃんの卵焼き、わたしの家と一緒の甘いやつなんだよね…
「……ねえ、夏乃ってば?」
翔ちゃんの作ってくれた朝ごはんを思い出していると隣の奈々花に声をかけられる。
「ん?何?」
「その年下彼氏の写メは?今まではシた人の写メ絶対見せてくれてたじゃん。」
いや…今までのはただの自慢だったしね…
でも今回はな…
「今回いつもとタイプ違うし…」
「いつもは可愛い系だもんね?だったら尚更見たい!」
奈々花の写メ見せろ攻撃に耐えきれなくなったわたしは、スマホの写真フォルダから翔ちゃんの写メを開き眼前に押し出す。
「…え?これってバレーの代表選手じゃなかったっけ?まだあまり試合には出れてないみたいだけど。」
「奈々花、何で知ってるの?」
「私バレー部だったからね。今年大学1年生だっけ?セッターの影山くんとコンビ組んでる子かー。」
バレー用語すらわからない私は奈々花の言ってることさえもちんぷんかんぷんだ。
「ほら、この雑誌に載ってるよ。特集組まれてる。」
奈々花が鞄から取り出した雑誌。
月刊バリボーを数ページめくると、わたしはこくり、息を飲んだ。