第30章 『私を1度、満たしてください。』灰羽リエーフ R18
目の前にあったうさぎのぬいぐるみを見て、適当に決めた偽名”うさぎ”。
その名前を呼ばれて顔を上げた先にいたのはものすごく背の高い銀髪の男の人。
「ライオン…さんですか?」
サイトに書いてあった名前を呼べばにかり、と笑うライオンさん。
同い年…いや、それより上のその人はぐっと体を折り、私の顔を見つめてきた。
「”1度会って、満たしてください”なんて募集してたから肉食系女子かと思ったらそんなことないんだな。
むしろ草食系?
実はベッドでは肉食?」
楽しそうに私に質問するライオンさん。
答えたくなくてふいと横をむけば、ライオンさんはくすりと笑った。
「さて、先にご飯でも行く?
それとも…」
ライオンさんは、すり、と私に顔を寄せぽそり、と耳元で呟く。
「まっすぐホテル、行く?」
ぞくり
背中が泡立つ。
目の前の初めて出会った人。
本来はいけないことなのに、なぜか私は囁かれたその言葉で早くも感じ始めていた。
だから私は躊躇なく、彼に呟いた。
つれてって、ホテルに、と。