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夜の少年達【HQ】

第29章 『教室の秘め事〜0818〜』 灰羽リエーフ R18





俺が夏乃さんと出会ったのは、もうずっと前。


元々近所のお姉さんで、行事のたびに後を追い回すほど小さい時からずっと好きだったのが夏乃さん。
ませていた俺は、小学生の頃に祭りで買った300円のおもちゃの指輪を夏乃さんの左手の薬指にはめ、「大きくなったら本物をはめてあげる。それまでは安物で我慢してて?」と夏乃さんの気持ちも聞かずプロポーズ。

その時はあっさり振られてしまったけれど、俺が中3の時、夏乃さんが教員試験に受かったことを聞きお祝いを渡しに行った時、ふと見つけたおもちゃの指輪。
手に取り指摘すれば、恥ずかしそうに俺から指輪を奪い取ろうとする夏乃さん。
そのまま俺が抱きしめて告白したのが、俺たちの付き合いの始まり。



それから俺は夏乃さんが先生をすることになった学校に入学するため猛勉強。
見事、念願叶って合格、入学したわけだけど…









「ねえ、夏乃さん?ご飯食べる時くらい参考書じゃなくて俺のこと見てよ…」

夏乃さんが、勉強に夢中で俺のことを見てくれません…
確かに先生だしやることいっぱいなのはわかるけど、彼氏がいるんだから少しは俺のことを見て欲しいって思うのは俺のワガママなのか?

空になった男子用のでかい弁当箱と半分も減ってないコンビニのサラダ。
タンブラーと机の間に広がっていく水の輪は、タンブラーが長い時間同じ場所に放置されていたことを示すサイン。
フォークに刺さったトマトは宙に浮いたまま食べられるのを待っている。

正直暇だ。
俺、夏乃さんと一緒にご飯食べようってここにきたはずなのに…

参考書に集中して俺のこと見てくれないんだったら俺が夏乃さんを見てやる。

そう思うと俺はじっと夏乃さんの表情を観察し始めた。




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