第28章 『朧月の夜。』 嶋田誠 R18
「嶋田さーん!お店出ますよー!」
嶋田さんが使い物にならないので、社員さんの中でリーダーをしてくれているお兄さんがみんなを解散、お店側に話をしてくれた…らしい。
家庭のある方は自分の家族と一緒に帰宅した。
残ったのは、独り身の社員さん数人と私、そして嶋田さん。
嶋田さんは意識が浮上したようだけど、千鳥足でぶっちゃけ家まで帰れるかどうか…
みんなそれを心配している。
「あの…実は私の家、歩いて5分くらいなんですが…」
そう皆さんに言えば、みなさん考えることは1つ。
「じゃあ…椎名さん……お願いできるかな…?」
…嶋田さんをうちで引き取って欲しい。
と、みなさんは言いたいみたいだ。
「じゃあ、どなたかお手伝いを…」
そう伝えれば、一番若いお兄さんが立候補してくれたので、そのままお願いをして、私と嶋田さんはお兄さんの助けを借りて帰路に着いた。
ふと、空を見ればいつもは光り輝いている月が、ベールを被ったようにふわり、微笑んでいた。