第28章 『朧月の夜。』 嶋田誠 R18
新入社員歓迎会当日。
本日の嶋田マートは早めの店じまい。
商店街から数駅離れた、宮城でもそこそこ都会にあるチェーン店の飲み屋の大広間。
そこに、嶋田マートの社員とパート、バイト、そしてその家族が集まって、食事会…と言う名の飲み会が開催された。
仲の良い人たちが集まって飲んだり食べたりしているなか、私はパートさんズに捕まっていた。
「ねえ、夏乃ちゃん?嶋田さんとはどうなってるの?」
「私も気になってたのー!でも仕事中は嶋田さんの目が光ってるからねー。」
「そうそう。こう言う機会じゃないと聞けないのよねー。」
飲み物のグラスを持ちあわあわとしていると、他のパートさんも集まってくる。
「ちなみに嶋田さんも社員さん達に捕まって吐かされてるからね?
覚悟しなさいよー?」
覚悟しなさいと言われても…
「いや、嶋田さんも忙しいからバイトのときくらいしか会えなくて…
だからどうなるも何も…」
そう口に出せば、パートさんズはキラリと瞳を輝かせ私にぐぐいと近づいてくる。
「でも、したことはあるんでしょ?セックス。」
唐突に聞かれ口に含んでいた飲み物を吐き出しそうになり慌てて飲み込む。
ごきゅり、と喉が変な音を奏でむせそうになるのを堪えれば、パートさんズは楽しそうに私にたくさんの質問を投げかけた。
「すごく気になるのよねー。あの見た目草食系の嶋田さんがどんなセックスするのか。」
「夏乃ちゃん年下だから見た目通り草食っぽいのもあれだしねー。」
「あの顔で実は獣みたいに激しいとか?」
お酒の入ったママさんズはあははと豪快に笑い出す。
ママさん達、下ネタ好きですね…
そんな話に私は顔を真っ赤にしながら俯いた。