第27章 『貴方だけしか見えません。』月島明光 R18
気持ちを落ち着かせるように体と髪の毛を洗い、浴槽に浸かる。
明光さんが用意していてくれたのか、浴槽内には入浴剤が混ぜられた乳白色のお湯が張られていた。
こういう小さい気遣いが、素敵だなって思う。
花の香りだろうか。
甘い香りに癒される。
このままずっと浸かっていたい。
そう思うけれどあまり長い時間明光さんを待たせられない。
ある程度あったまったところでお風呂から出るとアメニティに入っていた化粧水と乳液でお手入れをし、髪の毛を乾かす。
だいたい乾いたタイミングでドライヤーのスイッチを切ると、静かになる部屋。
いよいよなんだ。
そう思うと心臓がおかしくなったみたいにどきどきする。
明光さんだから、大丈夫。
鏡に映る自分にそう言い聞かせると、私はそっとバスルームの扉を開けた。
明光さんはベッドの端に座り外を眺めていた。
『明光さん…?』
小さく名前を呼べば、明光さんは振り返ってベッドの自分の隣をぽんぽんと叩く。
そこに近づいて座れば、明光さんはそっと私の肩を抱き自分の方に引き寄せる。
「怖いんだったら、無理しないでいいからね?」
優しい声。
ずっと、ずっと待たせていた。
出会って、いろんなことを経験して
やっと、今日を迎えた。
大丈夫。
明光さんだから
覚悟は決まった。
私は体の向きを変え、明光さんの胸に飛び込む。
『大丈夫。
私、明光さんのものになりたい。
大人に…して?』
明光さんの腕が回り、私を抱きしめる。
「やさしく、する。」
そう、呟いた声はいつもよりかたい。
頭をあげ明光さんを見れば、その瞳には私がいた。
私だけを見て?
私のことだけ愛して
私も
貴方のことだけを瞳に写すから。
だいすき、明光さん。