第27章 『貴方だけしか見えません。』月島明光 R18
明光さんの車に乗り連れてこられたのは有名なホテルのレストラン。
戸惑う私とは正反対に落ち着いた雰囲気の明光さん。
「卒業のお祝い。」
そう言われてしまうと何も言えず、私は運ばれてくる料理に手をつけることに集中した。
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目の前にはラストのデザート。
春らしい淡いピンクのクリームのケーキ。
桜があしらわれた優しげなフォルムのケーキを口に含んだ時、明光さんに名前を呼ばれる。
顔を上げた時、かちゃりと明光さんの手の中にある何かが鳴った。
そちらに目をやった時、私の息が、止まった。
「朝まで、一緒にいてくれない?」
その手にあったのは、このホテルの部屋の鍵。
…その意味がわからないほど子供じゃない。
私はこくり、首を縦に振った。