第27章 『貴方だけしか見えません。』月島明光 R18
式が終わり、教室での最後のホームルームが終わった。
周りは別れを惜しむように写真を撮ったりしているが、私には特に関係はない。
帰ろうとすると後ろから頭を掴まれる。
『…蛍くん…?何か用?』
「もう帰るつもり?少し付き合ってよ。」
何に付き合えばいい?
そう聞こうとしたが聞く前にずるずると引きずられる。
「ツッキー!普通に着いてきてって言ったら椎名さんついてきてくれるって。」
忠くんが心配そうに蛍くんの横から口を出してくれるけれど蛍くんはそんなこと気にもせずに私をどこかへ連れて行く。
着いた先は1組教室の前。
先にホームルームが終わったのか谷地ちゃんと影山くんもいる。
「日向がなかなか教室から出てこれなくて…」
「っ日向ぼげえ!こっちは全員集まったぞ‼︎」
そう影山くんが叫んだ教室の中心には珍しく学ランのみの日向がクラスのメンバーと写真を撮り合っている。
やっとの事で教室から出てきた日向。
「わりーわりー。みんななかなか離してくれなくてさー!」
そう笑う姿は名前みたいな暖かい日差しのよう。
『…で、バレー部が集まったけど私関係なくない?』
そう聞けば、日向、影山くんが不思議そうな顔をする。
「椎名さんはバレー部じゃなかったけれど、俺らの友達だから?…って日向と影山が聞かなくて…
ついでにツッキーも。」
「山口うるさい。」
「ごめんツッキー!」
…このコンビも相変わらずだ。
「時間稼げって言われてるこっちの身にもなってよ…」
小さな声で呟いた蛍くんの声。
意味がわからなくて聞き直したけれど教えてくれなくて…
そのまま6人で写真を撮り、私達は解散した。
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