第27章 『貴方だけしか見えません。』月島明光 R18
朝食を食べ、制服に袖を通す。
1月2月に比べたら暖かくはなってきたけれど防寒着は手放せない。
着慣れたコートを着てマフラーを巻く。
今日は式典だから厚手の黒のタイツを履いた。
3年間歩いた通学路も今日で終わり。
最後の通学路を時間に間に合うようにゆっくりゆっくり歩いた。
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学校に着けばあたりには保護者と一緒に来たみんなの姿が。
さて、おばあちゃんは…
と、思ったら私のスマホが鳴った。
”もう直ぐ着くよ”
最近のおばあちゃんは電話だけでなくメッセージアプリまで使いこなしている。
私との連絡手段を絶やさないようにと頑張って覚えてくれたのが純粋に嬉しい。
もうすぐってことは、門の近くで待っていたらわかるかな?
そう思い待っていれば別の場所から名前を呼ばれ、振り返る。
そこにいたのは谷地ちゃんと谷地ちゃんのお母さん。
「椎名さん!しゃす!今日天気良くてよかったね!」
『そうだね。卒業式に雨だったら最悪だよ。』
なんて話をしていれば、校門前にタクシーが止まった。
降りてきたのはおばあちゃん。
きょろきょろと私を探すおばあちゃんに手を振れば、おばあちゃんは微笑みながら私の方に歩いてきた。