第27章 『貴方だけしか見えません。』月島明光 R18
朝、目が覚めれば何やらガタガタと騒がしい。
時計を見れば7時3分前。
『何してるの…おばあちゃん?』
気になって部屋に向かえば綺麗好きのおばあちゃんの部屋が泥棒に入られたようにしっちゃかめっちゃかになっていた。
「あ、朝ごはんはできてるから食べな?私今から明美さんとこの美容院行ってくるから。
多分家に帰ったら間に合わないからまっすぐ学校に行くから遅刻しないように行くんだよ。」
そう言うおばあちゃんはたくさんの荷物を抱えている。
『今日の着物の色は?』
そう聞けばおばあちゃんはにっこり笑う。
「鶯色だよ。帯は白地に金の模様が施されてるやつ。帯留めは銅色だよ。
そんじょそこらの保護者より目立ってやるんだからね?」
『目立たなくていいから…
学校ついたら連絡入れて?門の前で写真撮ろう?』
「はいよ。じゃあ遅刻しないようにね。」
『おばあちゃんも気をつけてね?』
パタン
扉が閉まる。
顔を洗い、台所に向かえば並ぶ朝食。
甘い卵焼きにウインナー。
ほうれん草のおひたしに鮭のホイル蒸し。
お味噌汁はじゃがいもとわかめ。
全部私の大好きなものばかり。
食べようと椅子を引いた時、自室に置きっぱなしにしていたスマホが音を奏でる。
その音だけで向上する気持ち。
スマホを部屋に取りに戻りメッセージを確認。
それだけで私の頬が緩んだ。
”おはよう。
卒業おめでとう。”
そう。
今日は卒業式。