第26章 『貴方のことしか見えません。』 月島明光 R15
side明光
それは夢だと思った。
なんで今、夏乃ちゃんがここにいるんだろう。
酔っ払って寝たから夢なんじゃないか。
夢か現実かを確かめるために試しに首筋を舐めてみれば、かわいい反応。
嫌がる様子もない。
俺は調子に乗ってそのままキスをした。
いつもみたいに舌を絡めてくれるのが嬉しくて
これは夢なんだと錯覚して
夢だって思ったらタガが外れた。
気づいた時には怖がらせていた…
苦しそうな夏乃ちゃんの声。
今まで夢だと思って行っていた行為は夢じゃないんではないか。
そう、気づいた。
名前を呼べば夏乃ちゃんの腕が緩む。
そのタイミングで体を起こせば夏乃ちゃんのあられもない格好が目に飛び込んできた。
なんで気づかなかったんだろう。
涙に濡れた瞳
怖がる表情
震える体
全部全部俺が今まで守ってきたものじゃないか。
俺は夏乃ちゃんの体を起こしてあげると、近くに落ちていた毛布を拾い体にかけてあげた。
そして、ベッドから立ち上がると夏乃ちゃんに声をかけ、部屋から抜け出した。