第26章 『貴方のことしか見えません。』 月島明光 R15
明光さんのマンションに着いた時には明光さんは爆睡。
タクシーの運転手さんにお手伝いしてもらって部屋まで運んでもらった。
(お礼でお釣りは運転手さんにとっといてもらった。)
明光さんのこの様子じゃあいろいろ大変そうだなと思ったし、終電もなくなったので、私はおばあちゃんに連絡をし明光さんの家に泊まることを伝えた。
おばあちゃんは呑気に「避妊だけはしっかりするんだよ。」なんて言って笑ってる。
電話が終わって静かになると、ふと思い出すさっきの駅前での会話。
社会人の明光さんと高校生の私。
後1年ちょっとで高校も卒業。
だけれど後1年がものすごく遠くて苦しい。
せめて後数年早く産まれていればこんなに悩まなかったんだろうな。
胸が苦しい。
でも悩んだってこの問題だけは解決できない。
だから私は考えることを諦め、明光さんのさんが寝ている部屋に戻った。
部屋に戻ってみればいつのまにかコートとジャケットを脱いだらしい明光さんがベッドで眠りこけている。
スーツもコートもシワになる前に、と近くのハンガーに吊るしていたとき、事件は起こった。
ぎしり
ベッドのスプリングが鳴ったと思ったら不意に体が何かに包まれる。
「夏乃ちゃん?」
ふわり、吐息にお酒が混じる明光さん。
「どうしているの?」
『明光さんっ…』
ちゅっちゅっと私の耳や頬に口付ける明光さん。
「照れてる夏乃ちゃん可愛い。」
そう言うと明光さんは私を抱きしめたままベッドに腰掛けた。
そしてまた、頬や耳へのキスを再開する。
キスだったら明光さんといっぱいしてるし…
そう油断したのが悪かった。