第25章 『きらきらの貴方。 』 月島明光
side明光
『好きですっ!』
車を発進させようとした時、いつもなら考えられないようなボリュームの声が隣から聞こえた。
好き?
誰を?
俺を?
とりあえず一度エンジンを止めよう。
車のエンジンを止め、夏乃さんの方を見れば茹で上がったタコのように真っ赤な顔。
「ねえ、夏乃さん?」
びくり。
体を震わせ、恐る恐る俺を見る夏乃さん。
「好きって…俺のこと?」
そう聞けば夏乃さんは寂しそうに目線を下げる
『めいわく…ですよね…?』
「いや…!俺、勘違いしてて!チームの誰かに振られたのかと…」
ふるふると頭を振って俺の勘違いを否定する夏乃さん。
『ちが…さっき月島さんとチームの方の話…聞いてて…
お兄ちゃんの妹ってしか思われてないのかなって思ったら悲しくなって…』
さっき…
確かにチームメイトとそんな話はした。
聞き方によっては誤解するような言い方だったよな…と思いながら言い訳がましく説明をする。
「あれは…付き合ったら、からかわれたり…絶対するんだろうな…って…思って…」
ああ…どうしたらいい。
どう伝えたらわかってくれる?
夏乃さんが膝の上でぎゅっと握っている拳がふるふると震える。
この手の震えを止める言葉。
彼女が微笑んでくれる言葉。
そんなの、ひとつしかないだろ。
俺は、夏乃さんの震える拳に手を添えると自分の気持ちを素直に吐き出した。