第25章 『きらきらの貴方。 』 月島明光
side明光
ばさり。
何かが床に落ちる音。
まだ誰かが残っているのか。
先に靴を履いていたチームメイトが不思議そうに首を傾げた。
「月島?なにやってんだ?」
「あ…すいません。忘れ物したんで先に帰っててください。鍵は俺が閉めるんで。」
鍵当番のチームメイトから鍵を受け取り、先に行ってもらった後、さっき物音のした方へ足を向ける。
「誰か…いますか?」
そう、物陰を覗けば床に転がる可愛くラッピングされたカップケーキ。
その向こうには、真っ赤な瞳の夏乃さん。
ひぐひぐと声を出さないように泣きじゃくる彼女にびっくりしながらも、とりあえずプレゼントらしいカップケーキを紙袋に戻し、外に出ようと促した。
泣きじゃくる彼女を、とりあえず自分の車に乗せると、夏乃さんの了承を得て、あてもないドライブ。
落ち着いた頃を見計らって俺は景色の良い高台に車を走らせた。