第25章 『きらきらの貴方。 』 月島明光
不安でいっぱいだった。
見学に来たけれどどうしたらいいのか、どこで見学したらいいのかがわからなくてその場で立ちすくんでいた。
兄に聞こうにも、兄はさっさと体育館のネットの方に向かっていくし…
そんな時、声を掛けてくれたんだ。
「赤井沢さん…!大丈夫?」
『あ……』
きらきらの人が私の背中をとんと押す。
「試合始まるので壁際か2階にいた方がいいですよ?」
『はっはいっ!』
「下はボールが飛んでくるので…上、行きますか?」
そう言って体育館から出ようとするきらきらの人。
『あっ!あのっ!』
慌てて止めようとしてぐんとTシャツを引いてしまう。
それが妙に気恥ずかしくてすぐに手を離すと、私の方を振り返り、私の顔を見る。
「どうしたんですか?」
『あの…あなたは試合…』
「俺は今回は余り。もしよかったら解説しましょうか?試合。」
先輩の妹だから気を使っているのはわかってる。
でも、話しかけてくれることがすごく嬉しかった。
『お願いします…あの…お名前…』
そう聞けば、きらきらの人はにこり、笑って名前を教えてくれた。
「明光…月島明光です。」