第23章 『五月雨の夜。』嶋田誠 R18
「いらっしゃいませー。今日はもう閉め…」
嶋田マートの扉をくぐると、一番近いレジにいた嶋田さんと目があう。
にこやかな顔が一気に驚きの表情になったのがわかった。
「夏乃ちゃん⁈どうしたの?」
ばたばたっレジ奥から私に近づく嶋田さん。
『あ、えっと…傘、忘れちゃって…』
そういうと、嶋田さんはばたばたと奥へ走りたくさんのタオルを抱えて戻ってくる。
「ほらっ!これ使って!」
頭、肩にタオルを被せられ、わちゃわちゃと髪の毛を拭かれる。
『ちょっ!しまださんっ!』
「風邪ひいたら大変!店、もう終わりだから送っていくよ!それまで奥で座って待ってて!」
そういうと嶋田さんはもう1人いたレジの人に声をかけると私は奥にある休憩室に押し込まれた。
「女の子なんだから体冷やしちゃダメだよ。」
私の頭を再び拭くと、嶋田さんは着ていたシャツを脱ぎ私の肩にかけてくれた。
『嶋田さん…!いいんですか?』
「ないよりはマシでしょ?俺、Tシャツ着てるし。俺ので良ければ使って?
じゃあ店閉めてくるからちょっと待っててね?」
そう言って嶋田さんは店に戻った。
シャツから香る嶋田さんの香り。
シャツから伝わる嶋田さんの温もり。
それだけで幸せで、にやけてしまう口元を隠すように、俯きながら髪の毛を拭いた。