第23章 『五月雨の夜。』嶋田誠 R18
それから潔子にお兄さんの名前を聞いたり、お兄さんが部活にくる日を見計らって私も体育館にバレー部の見学に行ったりと少しずつ、ほんの少しずつ距離を縮めていった。
潔子が卒業だからとバレー部にいかなくなるギリギリまで私もバレー部に通って嶋田さんと話をした。
頑張った甲斐あって最後の方は名前も覚えてもらえるまでになった。
でも、それだけ。
嶋田さんは私を子供としか見てくれない。
だから…
ざあざあ降りしきる雨。
折りたたみ傘はカバンに入れたまま、私は雨の中を走った。