第22章 『私のことを見てください。』月島明光
side明光
夏乃ちゃんと2人でお参りをしたあと、屋台で腹ごしらえ。
食べてる途中から夏乃ちゃんが眠そうにしてるのには気づいた。
前日までバイトや家の手伝いで忙しそうだったから、無理させられないなとは思って、早めに車に誘導する。
「夏乃ちゃん、車、もどろっか。」
そう聞けば、夏乃ちゃんはこくりと首を振る。
いつもは助手席。
だけど、今日は後ろのシートを倒してそちらにご案内。
「夏乃ちゃんの家に送るよ?」
寝ぼけ眼の夏乃ちゃんにそう声をかけたんだけど、うにゃうにゃと可愛い反応。
「夏乃ちゃん?」
『あきてる…さん…?』
「家、送っていくけど…お家の人いる?」
そう聞けば、眠いながらも夏乃ちゃんは口を開く。
『おばあちゃん…きょ…いな…』
「お家の鍵は?」
『かばん…』
夏乃ちゃんはたしかいつも鞄の外のポケットに鍵を入れていたな…
勝手に鞄を漁るのは気が引けるけれど、送って行った時にスムーズに家に送っていけるから…
鞄をごそごそと漁ったけれど目当てのものが見当たらない。
家に人がいない
鍵もない
「…仕方がない……か…」
俺は、運転席に乗り込むと小さく寝息を立てる夏乃ちゃんをできるだけ意識しないようなしながら、車のエンジンをかけた。