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夜の少年達【HQ】

第22章 『私のことを見てください。』月島明光





お参りの列に並んでる間に迫る、新しい年。
ざわざわと周りの興奮が伝わってくる。

遠くからあと3分、2分と聞こえてきた。


「もう少しだね?」

『はい。』

学生かな?
遠くから60秒からカウントをはじめている。

ぼおっと聞いてると、私の手を握る明光さんの手がさっきより強くなる。

「ねえ、夏乃ちゃん?
俺さ、今年、夏乃ちゃんに会えて本当によかった。
来年も一緒にいてくれる?」

5!4!3!

『ずっと…一緒に…』

2!

周りがざわざわしてて聞こえない…

1!

カウント1を聞いた時、私は明光さんと繋いでいた手をぐんと下に引っ張る。
明光さんが私の方にバランスを崩したタイミングで私もぐっと明光さんに近づく。

ゼロの声

拍手

そして、唇に広がる明光さんの頬の柔らかさ


『大好き…です。私から離れていかないで…?』


言いたいことはいっぱい。
でも、何を言ったらいいのかわからない。

だから言いたいことを2つだけ。


私からのキスに明光さんは頬を染めびっくり顔。

『明光さん…その顔恥ずかしい…』

そういえば、明光さんははっとしたような顔をしたかと思えば顔を緩ませる。

「だって…初めてじゃない?夏乃ちゃんから…なんて。」


うう…恥ずかしい…
明光さんの顔が見れない…

「ほら、列進んでるよ?」

明光さんが私の腕をくんと引く。
引かれるがままに歩けば繋いでいた手が離され、指と指が絡む。

「こっちの方が離れない。」

『あ…はい。』


うれしくて
うれしくて
心臓破裂しそう。

マフラーの中はきっと真っ赤だろう。
でも、今、これだけは言わなきゃ。

そう思い、私は前に進みながら私の手を引く明光さんに声をかけた。






『明光さん…あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。』





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