第22章 『私のことを見てください。』月島明光
『ん…』
あれ…?私…明光さんと初詣に…
体を起こすと知らない部屋。
ここ…どこ?
きょろきょろと周りを見渡せばなんとなく予想がついた。
明光さんの部屋だ。
部屋の入り口のところにかけてある明光さんのコート。
仕事用のスーツ。
鞄。
所々見たことのある物たち。
そして、ふわり、香る明光さんの香り。
明光さんに包まれているようですごく嬉しくなる香り。
掛け布団を頬に寄せ、布団の柔らかさと明光さんの匂いを堪能していれば、かちゃり、ドアが開いた。
「あ、起きたみたいだね?」
『おはよ…ございます。あの…私…』
「初詣に行った帰り、車で寝ちゃったからうちに連れてきたんだよ。」
なんと。
確かに冬休み入ってから年末年始に休み取るためバイト入れまくって、昨日は朝からおばあちゃんの手伝いして、疲れてたのは確かだけど…
まさか車で寝てしまうとは…
『すいません…』
私が謝ると、明光さんはベッドの縁に座りそっと私の頭を撫でる。
「いつも頑張ってるんだから…俺の前でくらい力抜いていいよ?」
ほかり、と心があったかい。
嬉しくて、甘えてもいいのかなって思えて、私は明光さんの肩に頭をもたれさせる。
『少し甘えても…いいですか?』
「大歓迎。でも…」
明光さんはぽんぽんと自分の膝を叩く。
「こっち、おいで?」
ここって…膝の上⁈
『や…それは…恥ずかしいです…』
「夏乃ちゃんと俺しかいないよ?何が恥ずかしいの?」
…明光さんは優しい。
でも、たまに見せるちょっと強引な明光さんもすき。
私は膝立ちになり明光さんに近づくと、私が動いている間にベッドにあぐらをかき、両手を広げて私を待つ。
次のステップを超えるのが怖くて、立ち止まった私。
そんな私を見て、明光さんは手を差し伸べてくれる。
明光さんはそっと私の脇の下に手を入れ、ひょいと抱き上げられたかと思ったら私はいつの間にか明光さんの腕の中にいた。