第21章 『 ホントの私を見てください。 』月島 明光
10月末。
私の通う烏野高校の男子バレー部が県大会の決勝に出場することが決定した。
今まで男子バレー部を目の敵にしていた教頭は、諸手を挙げて喜び勇んで応援しに行くらしい。
でも、数人じゃあ心もとないから、有志のメンバー…と言いながら次の日用事がない人を根こそぎ集め、仙台体育館まで応援しに行くらしい。
なぜか私はそのメンバーに含まれていた。
本当は行きたくない…
けれどバイトをしていることをばれないようにするために面倒だという気持ちを押しとどめて私は予定を聞いてきたクラスメートに笑顔を作った。
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決勝当日。
なんで休日なのに制服を着なければいけないのかと問いたい気持ちを抑え、仙台体育館に向かう。
集められた同じ制服に紛れると、私は試合が始まるのを席に座りじっと待った。
同じクラスの谷地ちゃんが真っ黒のジャージを着ているのを見て、そうだ、谷地ちゃん、バレー部のマネージャーだったんだと思い出す。
谷地ちゃんが町内会の法被のお兄さん達と仲良く話をしているのを見て、ふと思い出すのは明光さんのこと。
バイトがないから明光さんに会えないな。
今日は本当にいいことないや。
そう落ち込み目線が下がる。
最前列が騒がしくなり再び私が目線を上げると、そこでは金髪の女の人と、帽子にサングラス、そしてマスクのお兄さんが口論中。
何言い争ってるんだか…
巻き込まれるのが嫌でまた顔を下げようとしたら、私の耳に聞き覚えのある声がするり、入ってきた。