第21章 『 ホントの私を見てください。 』月島 明光
それから明光さんは私がバイトに入っている日は、ほぼ毎日、お店に来店してくれた。
レジの合間や棚の整理中、お客さんの波が途切れた時に明光さんは私にこそりと話しかけてくれた。
近くの商社に勤めていること。
今は実家を離れて一人暮らしだということ。
高校の時にバレー部に所属していたこと。
高校の時、満足できなかったからと今でも地元のバレーチームに通っていること。
弟がいること。
弟と仲違いしていたけれど、最近話ができるようになってきたこと。
たくさん話をした。
バイトの度、明光さんがいつ来るのか楽しみになった。
来てくれるのが嬉しいはずなのに、
「また来るね。」
そう笑い帰っていく明光さんの背中を見る度になぜかきゅっと胸が苦しくなるんだ。