第18章 『貴方の瞳を見つめるだけで。』 孤爪研磨 R18
『ねえ、研磨。』
私はソファーの前に立つ。
「何?夏乃…」
カチャカチャ
『今日って久しぶりの…デート…だよね?』
「そうだね。」
カチャカチャカチャ
てってれー!
『私…ゲームばっかりじゃ寂しい…』
小さな、小さな声で呟くと、研磨がぽそりと私の名前を呼ぶ。
「夏乃…アップルパイ作ってたから…」
ごめん。
謝る声、そして私の手を握る研磨。
研磨を見ればゲームはいつの間にか画面が真っ暗。
いつの間にセーブしたんだろう…
『研磨…ぎゅってして?』
私がそういうと研磨は猫のような瞳で私を見ながら自分の膝をぺしぺしと叩く。
これはもしや…?
『膝の上に…座るの?』
「うん。」
『さすがに恥ずかしい…』
私が逃げようとすると、研磨はいつもの無気力っぽさからは信じられないくらい素早く私を捕まえ、抱きしめながらソファーに戻る。
「夏乃はぎゅー…だけでいいの?」
研磨の膝の上にいる私はいつもと目線が違う。
上目遣いの研磨がいつもより格好良く見えて思わず赤面する。
『キス…した…』
最後まで言葉は紡げなかった。
言わせてもらえなかった。
ちゅっ
研磨の唇が私に触れた。
「足りる?」
研磨は意地悪だ。
これだけで足りないことなんてわかりきってるはずなのに、わざと私の口から言わせようとする。
『足り…ない。』
「じゃあ、したいこと言って…?」
ほら。
ずるい。
でも、それでも、
研磨に触れてほしいから、私は研磨に”お願い”をした。
『キスと…ハグと………研磨がほしい。』
そういうと研磨は私を抱え立ち上がった。
「じゃあ、部屋、いこっか…」