第18章 『貴方の瞳を見つめるだけで。』 孤爪研磨 R18
とんとんと規則正しい音で階段を上がる研磨。
女の子みたいに可愛い研磨。
だけど、毎日バレー漬けだからか、意外と筋肉は付いているらしく私のことなんて軽々持ち上げちゃう。
さすが、男の子だなぁ。
『研磨…重たくない?』
「別に…」
そう言いながら研磨は器用に私の部屋のドアを開ける。
そして壁際にある私のベッドに私を降ろすと、そのまま私の上に乗り上がる。
『あっ…!シャワーとか浴びたいな?』
「別にいらない…」
『そうだ。アップルパイ焼けたかな?』
「さっきオーブン止まる音した…」
『じゃあ…』
言い訳ばかりの私の唇を研磨が塞ぎ、私の下唇を研磨が舌で舐める。
これが研磨からの合図。
その合図で私は口を開く。
隙間からねじ込まれる舌にぴくりと身体が反応する。
逃げ腰の私の舌を研磨の舌が追いかけ捕まえた。
絡まった舌が音を出しはじめると、息継ぎのたびに自分の声とは思えない甘い声が部屋に響いた。
どのくらい経っただろう。
絡まっていた舌が解け、唇が離れる。
「今はアップルパイより夏乃が食べたい。」
こういう時の研磨はスイッチが入ったかのように表情だったり動きが良くなる。
今もいつもの無気力顔なんてどこ行ったんだってくらい私に微笑んでくれてる。
あ、私以外はわからないくらいの微笑みなんだけど…
『研磨…』
「あ、これ貸して?」
そう言うと研磨は私の腕からヘアゴムを取り、自分の髪を束ね始めた。
「…夏乃とするのに邪魔。」
普段の無気力な研磨が好き。
でも、エッチをする時のいつもより表情のある研磨も好きだ。
『研磨…お願い。シて?』
私がそう言うと、研磨は返事の代わりに自分のパーカーを脱ぎ去った。