第13章 『それは色付く木の葉のように。』木葉秋紀 R15
そんな約束をした日の週末、私は学校の最寄り駅に来ていた。
午後1時。
部活帰りの生徒がちらほら駅へと吸い込まれて行く時間帯。
私は私服で木葉を待っていた。
ざわりざわりと騒がしい声が聞こえ顔を上げると、その騒がしい集団の中に木葉はいた。
木葉は私を見つけるとざわざわした集団から抜け、私の方に近づいてきた。
「よっ、待った?」
『ううん。そんなに待ってない。木葉、部活お疲れ様。3年なのに部活続けててすごいよ。』
「んなことね「あーーーーー!」
突然の大きい声にびっくりしてそちらを見れば、学校一の有名人、木兎光太郎が私達の方を指差して叫ぶ。
「木葉っ!おまえ、カノジョいたのか⁈」
「木兎うるせー!赤葦、こいつ連れて帰れ!」
木葉が叫ぶと黒髪のおとなしそうな顔の子が木兎に何か話しかける。
直後、木兎はものすごい笑顔になり他のメンバーの集団の中に戻っていく。
「赤葦助かった。」
「いえ、別に。ところで木葉さん、その方は彼女…なんですか?」
含むように問われると木葉はがしりと私の方に腕を回した。
「もちろん。」
あの日、私を変えてくれると言ってくれた木葉。
あの話には続きがあって…
『え?彼女?』
「そう。学祭までの限定カレカノ。」
よくね?と問われ、私はどうして?と問いかけた。
「友達とカレカノってやれることが全然違うんだぜ?」
『まあ….確かに。』
「まあ、軽ーく考えろって。途中で嫌になったら返品可。続けたいなら延長可。」
わー。俺、お買い得。だなんて冗談めいて笑う木葉。
『わ…たし、付きあうとかも初めてだから…ちゃんといろいろ教えてね?』
そう木葉に伝えると、くすり、笑い声と了解。という低い声、そして契約完了とばかりに手の甲に唇が降ってきたのだった。