第13章 『それは色付く木の葉のように。』木葉秋紀 R15
放課後、私達は学祭での出し物を報告に行くためプリントを作成していた。
『和風喫茶…っと』
まあ、簡単にいうと浴衣か甚平を着て和風のスイーツを売る…らしい。
その内容を少し固めの文書にしながらプリントに並べていく。
「なあ、椎名…」
『なに?』
ききっききっ
前の席に座った木葉の椅子が変な音を立てている。
「椎名ってさー、真面目だよなー。」
『なんでよ。』
「うちのガッコー、校則ゆるっゆるなのに染めたりしねーの?髪。」
そう言いながら、木葉は私の髪の毛を一房掴み、指にくるくる巻きつける。
「ミルクティーみたいな色、似合いそうなのに。」
『私は臆病なだけ。』
ぷちんっ
話の腰を折るようにシャーペンの芯が折れる。
「なにそれ。」
かちかちっ。
シャーペンの芯を出しながら私は木葉の質問に答えた。
『変わるのが怖いの。
髪の毛の色だったり服装だったり。ピアスだったり。
一気に変わってしまうのが怖いの。』
だから現状維持。
そう伝えると、ふーん。とそっけない返事。
『よし、書けた。』
ガタンと音を立てて立ち上がる。
あれ?
なんで木葉、じっと私を見てるの?
「じゃあさ、変えてやろうか?」
ニヤリ
木葉の口元が弧を描く。
「変わりたいなら俺が変えてやろうか?」
がたん、ぎぎっ
立ち上がり、私に顔を近づける木葉。
『どういう…こと?』
「だから、1人じゃ怖いかもしれねーけど俺と一緒なら怖くないかもしれねーだろ?」
細くつり上がった目がすうっと開き、視線がぶつかる。
「どうする?」
そう呟く声が耳に吸い込まれると、私は知らず知らずのうちに返事をしていた。