第3章 移り変わりゆくもの
―トド松
僕とさくらちゃんはたくさんの話をした。
昔の思い出話に花を咲かせたり、さくらちゃんの大学生活のこと、最近ハマっている趣味のこと、さくらちゃんが就職したこと、僕がアルバイトをしていること、兄さん達のこと。
さくらちゃんとの会話が楽しくてお酒が進んでしまい、7杯目に突入した。
そんなさくらちゃんは8杯目。
さくらちゃん、ほっぺがピンクになっててずっと口角があがってる。
可愛い…
「それにしても、やっぱり人って成長するんだねぇ」
「どういう意味?」
「トッティ、背高くなったし、喋り方もちょっと落ち着いたし、ちょっとずつ大人になってくんだねぇ~!なんか、トッティて呼ぶの恥ずかしいくらいだよ~今までずっとトッティって呼んでたのにおかしいね、あはは」
「何それ、じゃあ今はなんて呼び方がしっくりくるの?」
「んんんん…
トド松くん?」
「…」
あれ、
「…って普通じゃん!!」
「確かに!でもしっくり来たよ!トド松くん」
と机にもたれてさくらちゃんは僕の名前を呼びながら笑う。
ダメだ。さっきからさくらちゃんと目が合うとキュンキュンする。
なんでこんなにドキドキするんだろう…
普通に名前呼ばれてるだけじゃん!
「…じゃあ僕もさくらちゃんって呼んでいい?」
「…な、なんかトド松くんにあだ名以外で呼ばれるって変な感じ~!くすぐったい!」
「そお?」
こっちのセリフだよ…!
「…なんかさ、久しぶりに会ってもこうやって前みたいに話せるの、すっごく嬉しいな。安心した」
「え?」
「ちょっと不安だったんだよね。心の距離離れちゃったりするかなぁって」
「僕たちずっと昔からの幼馴染だよ?そんなわけ無いじゃん!」
「ふふ、今そう言ってくれてほんとに嬉しい。」
とさくらちゃんは本当に嬉しそうな顔でへらりと笑った。
「…。」
その笑顔を見た瞬間、今まで出会ったバイト先の可愛い女の子や合コンで会う綺麗な女の子に抱いたことの無い感情が芽生えた。
それと同時に今まで女の子に抱いてきた感情は恋じゃなかったんだと気付いた。
「…ハァ、心を奪われたって的確な表現だよね」
「え?何の話?ルパ〇?」