第3章 移り変わりゆくもの
思ったより早く支度が終わったので、少し早めに家を出て駅までゆっくり歩いて行った。
駅前の広場は昼の雰囲気とはまた変わって待ち合わせ中の人や既に酔っぱらっているおじさん達や夜のスカウトマンで賑わっている。
「まだ46分か…」
トド松くんが来るまでどこかで座って待っていようと辺りを見回したらベンチに座っているトド松くんを発見した。
「えっ…!」
もう来てたの!?
急いで駆け寄りトッティと呼ぶとトド松くんが顔をあげてこちらに手を振った。
「トッティもう着いてたんだ!待たせてごめんね!」
「気にしないで!僕が早めに来ちゃっただけだから。」
「連絡してくれたら急いだのにー」
「約束の時間8時って言ったの僕だから!そんなに気にしなくても大丈夫だよ♪」
「ありがとう、ごめんね。」
「でも、早く会いたかったんだ。ラッキー!」
「あっ、本当だね!」
と少し照れくさそうに笑うトド松くんに私は少しだけ驚く。
あれ、トド松くんってそんな事私にも言うんだ…
昔はもっと淡泊だったような…
いざ、自分が言われてみるとなんか恥ずかしいな…
「えっと、どこに飲みに行こっか?」
「あ、もう僕予約してるんだ!」
「そうなの!?トッティ手際良いね」
「個室でゆっくり飲めるんだ!オススメの所だよ♪」
女子力高い…
「流石トッティ…」
きっと色々な女の子と個室でゆっくり飲んでるんだろうなぁ。
トド松くんについていくとビルの中のお洒落な居酒屋に着いた。居酒屋っていうかダイニングバーという言葉が似合いそうな。
『いらっしゃいませ』
「8時から予約していた松野です。」
『あ、トド松さんこんばんは。今日はおひとりじゃないんですね。』
と綺麗な店員さんがトド松くんに話しかけた。
トド松くん常連なんだ。
「余計なこと言わないでっ」
『ふふ、すみません。ではこちらへどうぞ』
今日はおひとりじゃないって、いつもは一人で来るのかな?
意外だな、基本女の子と飲みに行くタイプだと思ってた。
「ほら、カーテンもついてて落ち着くでしょ♪」
「すごいプライベート感あるね!」
「はるるん何飲む?」
「とりあえず生で!」
「潔くオッサンだねっ」
「ほ、ほっといてよ!」
「えーっとぉ、じゃあ僕カシオレで!」
「女子か!!!」