第2章 1.00 “瑠璃華” Part.1
「さっきの“かっこう”って人、偉いんですか?」
先に進んでしまった柊子について行きながら、は訊ねた。
「そうですねぇ。いずれさんも知ることですし、言っちゃっても大丈夫ですよね。彼は、特別環境保全事務局東中央支部監視班所属火種一号指定局員“かっこう”さんです。本名を薬屋大助(クスリヤダイスケ)さんと言います。彼は珍しい同化型の虫憑きさんです。」
柊子はそんなこと教えていいのかというほどの情報を教えてくれた。
しかし、には彼の偉さがよく理解できなかった。
「…あの、教えていただいて何なんですが…。分からないワードが二個ほど…。火種一号指定と、同化型って…なんですか…?」
「えっ!?本当にわんこさんは何も言って無かったんですかっ!!?」
柊子はの言葉に酷く驚いた。
「えぇっとですねぇっ…!まずは、“虫”の種類ですねっ…!“虫”には分離型・特殊型・同化型の三つのタイプが存在します。この中で一番稀なのは同化型、つまり、“かっこう”さんの種類です。次に号指定についてですが、号指定とは虫憑きを“虫”の能力の種類や強さによって区別する制度です。純粋に戦闘能力に秀でた虫憑きを火種(カシュ)、極めて特殊な能力を持つ虫憑きを異種(イシュ)、その他の理由で重要性や秘匿性を持つ虫憑きを秘種(ヒシュ)と認定し、その危険度に応じて一号から十号までランク付けしています。最強とされる 一号指定の虫憑きは虫憑き全体でも5人しか確認されていないそうですよぉ。ちなみに、さんはわんこさん曰く異種五号指定ほどだろうとのことです。」
「…ってことは、無茶苦茶すごい人じゃないですか、あの人。」
柊子は「あはははそうですねぇ。」と笑っていた。
それから少しすると、柊子はある扉の前で立ち止まり、ノックをすると扉を開けて中に入った。
「失礼しまぁーすっ。土師センパイ、ただいまわんこさんのお弟子さんである“瑠璃華”さんをお連れしましたぁっ。」
も柊子の後に続いて中に入る。
するとそこには、眼鏡をかけた青年が椅子に座っていた。