第2章 1.00 “瑠璃華” Part.1
「初めまして。ボクは特環東中央支部、支部長の土師圭吾(ハジケイゴ)だ。これからよろしく頼むよ、“瑠璃華”くん。」
土師圭吾と名乗った青年は、世間一般では美形と言われるであろう顔をしているが、縁なしの眼鏡と少し気味の悪い笑顔がそれを台無しにしていた。
「こちらこそよろしくお願いいたします。土師支部長。」
「早速だが、キミには明日から監視の任務に着いてもらうことになった。なに、ただ高校に入ってもらうだけさ。」
圭吾はの挨拶に笑みを返してから説明を始めた。
「監視対象は、何なんですか?」
の質問に圭吾は、「それは今は言えない。」とだけ言って、それ以上は話そうとしなかった。
それに対してが不機嫌になりそうになると先程まで黙って聞いているだけだった柊子が声を発した。
「さん。これが明日からの制服です。それじゃぁ土師センパイ、私たちは今日はこれで失礼しますねぇ。」
柊子はに制服を渡すと、そのまま圭吾に一礼してドアに向かった。
すると圭吾が思い出したかのように柊子に声をかけた。
「そうだ柊子くん。少し手違いがあって“瑠璃華”くんの部屋を用意できなかったんだ。」
それを聞いた柊子は「あらら、それは困りましたねぇ…。」と顎に手を置いた。
「あ!じゃぁ、これはどうですかぁ?」
そう言って柊子が出した案に、圭吾はにやけ、は言葉を失った。