第2章 1.00 “瑠璃華” Part.1
「さんは特環について、どの位わんこさんから聞いてるんですか?…さん?」
柊子の運転するビートルの助手席に座り、外の景色を眺めていたは柊子の突然の質問に少々反応が遅れてしまった。
「はぃっ!?あっ…!えぇっと…実は全くと言っていいほどに何も教えてもらえてなくって…。ただ、『君なら特環で戦士になれる。』としか…。…今考えるとなんか無償に腹立ってきた…。」
そう言うとは胸の前で拳を握った。
「あははは、わんこさんらしいですねぇ。それでは!この私、五郎丸柊子が説明させていただきますっ!“特別環境保全事務局”、通称“特環”は、 政府が増え続ける虫憑きに対処すべく設立した秘密機関です。虫憑きを秘密裏に捕獲・隔離し、また“虫”の存在、虫憑きによる事件を隠蔽して、政府の「“虫”は存在しない」という公式見解をその通りにしています。赤牧市を拠点とする中央本部の他、全国に多数の支部を置いているのですが、さんが所属するのは、桜架市に拠点を置く東中央支部になる訳ですね。」
柊子はハンドルを握ったまま丁寧に教えた。
「なるほど…。ということは、私はそこで虫憑きを捕獲するのを手伝えばいいわけですね?」
は飲み込みが早いらしい。分かりにくいてあろう柊子の説明をすんなりと理解した。
「そういうことです。まぁ、それ以外にも色々な任務があるんですけどねぇ。あ!それでいきなりなんですが、土師センパイから早速任務の通達です!あはは、すっかり忘れちゃうところでしたよぉ。」
一緒に居たのは少しだが、これまでの感じで柊子はどこか抜けてるところがあることをは察した。
「任務ですか?こんな新入りに??」
「はい。どうやら、新入りさんの方が都合がいいらしいんですよぉ。私にはどういうことか分かりませんけど。…まぁ、詳細は中に入ってからにしましょうか。…“かっこう”さん、支部に居るかなぁ…。」
柊子と話をしている間に、は目的地“特別環境保全事務局、東中央支部”に辿り着いた。