第2章 1.00 “瑠璃華” Part.1
電車に揺られ、どれくらいが経っただろう。
は1人、桜架市へと向かっていた。
最後までとことん自由奔放だった師匠のことを考えると、無意識にため息がでる。
『次は桜架駅、桜架駅。』
しばらくの間あの師匠のことを考え、もう何度目かも分からぬため息をが落としたとき目的の場所、桜架市へとたどり着いた。
「東中央支部ってどこにあるの…。」
電車を降りたは、桜架市に着いたはいいもののどこに向かえばいいか分からず、駅の周りをさまよっていた。
「あーっ!もうっ!!こうなったのは何もかもあの犬っころ師匠のせいよ!!!」
思わず大声で叫んでしまったを何人かの人が見たが、それはこの際気にしないことにする。
するとその中の1人、眼鏡をかけスーツを着てはいるものの、眼鏡は右に傾きスーツもしわが寄って、シャツの後ろの方はスカートからはみ出それに付け加え髪の後ろの方には寝癖の立っている女性がに向かってかけてきた。
「いやぁ~っ!やっと見つけられましたよっ!あなたがわんこさんのお弟子さんのさんですよね!?」
寝癖の女性はのもとにたどり着いたと思うと、そのまま勢いよくしゃべり出した。
「そうですけど…。もしかして、特環の方…ですか…?」
あまりの勢いに軽く押されながらも、は答える。ついでに、今一番の悩みであった東中央支部にたどり着けるかもしれないという期待を胸に寝癖の女性に尋ねた。
「あっ!コレは失礼しました!あはは…私ってほんと無能だなぁ…。私は、土師センパイ…東中央支部長の後輩の、五郎丸柊子(ゴロウマルトウコ)と申します。土師センパ…支部長のご命令で、迎えに来ました。本当は“かっこう”さんも一緒に来る予定だったのですが…。それでは、行きましょうか。」
五郎丸柊子と名乗った女性は、東中央支部長のことをセンパイと言い間違えながらも最後まで言い終え
、を柊子の愛車であるビートルへと迎え入れてくれた。
「特別環境保全事務局、東中央支部へようこそ。“瑠璃華(ルリカ)”さん。」
柊子はハンドルを握りながら優しく微笑んだ。