第14章 10月23日*伊月*
はこくり、と頷くと、はにかむように笑顔を見せた。
「私からの誕生日プレゼントその1。あんまり上手いダジャレじゃなくてごめんね?」
「え?かなり面白かったけど!」
「まぁ、俊くんが喜んでくれたならいいや。…あともう一つがこれ。」
手渡された長方形の箱を開けると、質が良さそうなボールペンが入っていた。
手にとってくるりと回すと、文字が刻まれていることに気が付いた。
「これ…俺の名前入ってる…。」
「ネタ書く時にペン使うでしょ?どうせなら長く使えるものがいいなって思ったの。」
自分の事を考えて選んでくれたことが、ひしひしと伝わってくる。
いつも側にいる彼女だからこその気配りに、胸が暖かくなった。
「ありがとう、。…すごく嬉しい。」
気付けばを抱き締めていて、彼女も俺の背中に腕を回して身体をそっと寄せている。
「俊くん、大好きだよ。」
そう言って腕の中のが微笑むものだから、嬉しくて愛しくて顔が火照っていく。
こんな顔見せたくなくて、思わずにキスをした。
なんて幸せな誕生日。
この先もずっと君とこの日を迎えたい。