第11章 暴君と私*青峰*
「もしもし。良くん?」
電話の主は同じ部活の桜井良くん。
男の子なのに料理上手で可愛くて優しい良き友達。
「ちゃん、前に言ってたパンケーキのお店なんだけど…。」
話が少し長くなりそうだったので、大輝に「ごめんね」と呟き目配せして話に戻ろうとした。
すると、私の手から携帯がするりと離れ、見上げれば大輝の手に私の携帯は収まっていた。
「おい、良。…俺だ。今は俺と一緒なんだよ。人の彼女に電話してくんな。」
そう言い放って、一方的に電話を切った。
「ちょっと…!何で勝手に電話切るの!?」
「俺といる時に他の男と電話すんなよ。」
「良くんと私が仲良いのくらい知ってるでしょ?いつもはそんな態度取らないじゃん!何でよ…。」
普段部活の時でも私は良くんとよく話す。
もちろん大輝もそれを見てるし、今までそれについて大輝に責められたことはない。
「…俺といる時より楽しそうにするな。」
いつもより余裕がなく真顔の大輝に私は一瞬たじろいでしまった。