第11章 暴君と私*青峰*
「お、この店入るぞ。」
大体大輝が立ち寄るのは、スポーツ用品店やメンズのショップ。
ここまでは一緒に見たり選んだりできるからいい。
本屋で週刊誌をチェックして、堀北マイのグラビアを隅から隅まで堪能している間、立ち読みしていても時間をもて余してしまうほど。
「並んで歩いてるだけでも幸せなの。」
そんな健気なことが言えたなら可愛げがあるのにな。
「ねぇ、大輝。あのお店入りたい。」
「あ?女物の店なんて入れるかよ。」
「じゃあ外で待ってればいいでしょ?」
「俺が暇だろうが。」
なんて自分勝手なの。
散々私のことは都合のいいように振り回しているのに。
さつきは「大ちゃんはちゃんに甘えてるんだよ。」って言ってたけど、どうなんだろう。
優しくないし、我が儘だし。
本当に私のこと好きなの?
複雑な思いが入り乱れる。
すると、携帯が一定の振動を刻んだ。