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黒子のバスケ*Short Stories2

第11章 暴君と私*青峰*


「え…?」

ぽかんと口を開けていると、大輝は私の手を一方的に握り、人気のない階段まで連れ出した。

すると壁際に私を追いやり、両手を壁についた。

もちろん相手は自分より遥かに背が高い男の子だし、バスケで鍛えられた両腕に行く手を阻まれてしまっている。

大輝は少し屈んで、私に顔を近づける。

見つめる眼差しはまるで獲物を捕らえるかのようで、目を逸らすことが出来なかった。

「おい、。お前誰と付き合ってんだよ。」

「…大輝。」

「じゃあ俺だけ見てればいいんだよ。お前は俺のものだ。」

私の答えなんか聞かずに、大輝は唇を寄せた。

もちろん優しいキスなんかしてくれなくて、うまく息をさせてくれないほど。

私の様子になんて目もくれず、貪るように唇を重ねる。

こんな時まで俺ペース。

でも、本当はちゃんと分かってる。

大輝の不器用な愛情表現を。

この強引なキスだって、私に「好きだ」ってたくさん伝えるためのもの。

照れ屋でぶっきらぼうだし、優しくするなんて恥ずかしくて出来ないのも知ってるよ。

「…ちゃんと分かってるのに。」

「あ?」

唇が離れて、行く手を塞いでいた体からも解放されて。

一人言のようにぽそりと呟いた言葉を、前を歩いていたのに大輝はちゃんと拾い上げた。

「ほら、行くぞ。」

離れられないように強く握られたその手からは、大輝の真っ直ぐな愛情が伝わった。

「ぼやっとしてんじゃねぇよ。」

…ような気がした。


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