第7章 10月9日*紫原*
ドアを開いた瞬間。
丸く型どられた火の光がぼんやり暗闇に浮き上がった。
「Happy Birthday to you...♪」
聞き慣れた優しい声でのHappy Birthdayの歌が聴こえてくる。
歌が終わると、パッと電気が点いた。
テーブルの上にはいちごのとチョコの2つのホールケーキ。
お茶会みたいに三段重ねのお皿にクッキーとかチョコとか、なぜかまいう棒とかポテチとかも乗っかっている。
美味しそうなプリンとかフルーツいっぱいのゼリーもある。
「敦!お誕生日おめでとう!」
今日ずっと見たかった笑顔のちん。
オレは思わずぎゅーって強く抱き締めた。
「ちーん…。オレ今日一日寂しかったんだけど。」
「敦ごめんね?二人きりでお祝いしたくて…。」
室ちんとやたら喋ってたのは、オレがうまくちんの家に行くように相談してたから。
目を真っ赤にして眠たそうにしてたのは、夜遅くまでケーキやお菓子を作っていたから。
そわそわしてたのは、うまくいくかどうか不安だったから。
全部オレのため。