第7章 10月9日*紫原*
「アツシ今日はいつもよりもご機嫌斜めだな。」
練習後の部室で、制服に着替える室ちんに声をかけられる。
「…そんなことないし。」
さすがに一日ちんとまともに話せなくて寂しい。
しかも、今日は先に帰るってどういうこと?
「室ちん、今日は何の日?」
「アツシの誕生日だろ?朝一番にHappy Birthdayって言ったじゃないか。皆からプレゼントもらってただろ?」
確かに、今朝皆から紙袋いっぱいのお菓子をもらった。
「そうだけどさー。ねぇ、室ちん。今日ちん何か言ってなかった?」
すると室ちんは少し考えて、あっ!と何か思い出したかのように、言葉を返した。
「そういえば朝から体調が悪いって言っていたよ。…アツシに心配かけたくないからって口止めされてたんだけど。」
思い当たるところはいくつもあって、気付けなかったことが悔しくなった。
「オレ、ちんのところ行かなくちゃ!」
気が付けば、足が勝手に走っていて、ちんの部屋に向かっていた。