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黒子のバスケ*Short Stories2

第6章 頑張れ*笠松*


寒空の下。

二人で手を繋いで歩いて帰る。

言葉を口にする度に、白い息がふわっと吐き出される。

繋がれた手からは心地よい温度が伝わってくる。

「幸男、受験勉強ないんだから先に帰ってもいいんだよ?」

「受験勉強なくても、最後の学年末試験があるだろーが。」

「成績入らないのに…真面目だねぇ。」

こうして他愛もない話をして、制服を着て並んで歩くことも無くなってしまうのかと思うと、より心が押し潰されそうになる。

だんだんと心に闇が差してきて、無意識に俯き言葉もなくなってしまった。

勉強しても合格できるかわからない自分の進路への不安と、楽しくて充実した高校生活との別れ。

寂しさが込み上げてきて、気を抜くと涙が溢れそう。

しばらく静かな沈黙の時間が過ぎていく。

そうしているうちに、いつも別れる交差点に辿り着いた。

「…ありがと、幸男。また明日ね!」

簡単に泣いてしまうような弱い女は、幸男はきっと好きじゃない。

気付かれないうちに足早に去ろうとした。
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