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黒子のバスケ*Short Stories2

第6章 頑張れ*笠松*


幸男に背を向けて歩き出そうとした瞬間。

手首をぐっと掴まれて、歩みを止められた。

「、ちょっと待て。」

恐る恐る幸男の方を振り返ると、真剣な眼差しで私の瞳を捉えた。

「…何?」

「俺の前で我慢しなくていい。…泣いてもいいから。」

その一言が心にかかっていた枷を外したかのように、ぽろぽろと涙の粒がこぼれ落ちた。

「お前なら大丈夫だよ。気が狂いそうなほど頑張ってるんだろ?もっと自分のこと信じろ。」

「だって…不安だもん。受かるかどうかわかんないし…。」

幸男の励ましの言葉も私の不安の渦の中に溶けていく。

すると、幸男はぽんぽんと私の頭に手を置いた。

「絶対受かるなんて言わない。ただお前は何でも一生懸命で、色んなもん我慢して努力してる。だから俺はお前を信じてる。」

「そんなこと言われたら余計泣く…。」

いつもよりも優しい言葉に眼差しに、胸の奥がぽかぽかと暖かくなって、光が射し込んだような感じがする。

「、頑張れ。あと少しだろ?…受かったらどっか行こうな。」

「うん!」

これから別々の進路を進んでも、隣にはずっと幸男がいる。

そう思うと、卒業することの寂しさもほんの少しだけ和らいでくれた。
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