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黒子のバスケ*Short Stories2

第48章 Merry Christmas!2013*伊月*


クリスマスを迎えた日、誠凛の試合を見に会場に足を運んだ。

ここに来るまでに仲良く寄り添う恋人たちや、楽しそうに歩く家族連れをたくさん見かけて、クリスマスへの期待に拍車がかかった。

普段同じ教室で過ごす彼の姿と全く違う彼が見られるので、試合を見に来るのも好き。

試合中の彼は遠かったけれど、皆に指示を出し必死にボールを追い掛ける懸命な姿はやっぱり素敵だな、と思った。

きっと私のことなんて見えていないのだろうけれど、「励みになる」という言葉が私の心を満たしていた。

試合の間の休憩中の彼を見ていると、少しだけ彼が私のいる方向を見つめたままになった。

…気付いているのかな?いやいや、まさか。

試合は無事に誠凛が勝利を納め、ほっと一息着いた。

待ち合わせ場所は決めていなかったので、どこかいいところはないかな、と外へ出た。

すっかり日も暮れて、星が夜空に輝いていた。

少し高台になっている会場の外からは、宝石箱を返したかのような夜景が広がっていた。

せっかく待つなら少し寒いけど、ロマンチックな場所がいい気分だった。

彼に連絡してもきっとミーティング中だろうし、繋がらないだろう。

過ぎゆく時間の間にだんだんと手足が冷たくなってきて、さすがに少し辛くなってきた。

来る気配もないし、やっぱり中で待っていた方がいいかなと夜景に背を向けて踵を返した。

すると、遠くから息を切らして走ってくる人影が見えた。

「…俊くん!」
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