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黒子のバスケ*Short Stories2

第1章 身長差の恋*伊月*火神*木吉


体育館に入ってみると、ひやりとした空気が体を刺した。

皆集まっていて、ストレッチをしてアップを始めていた。

「そっか…。今日風紀委員会だっけ。」

俊くんがいなくて、どこか寂しい気持ちになる。

いつもより多目に動いてはみるけど、出来ることは限られていて、動きを止めるとまた冷気が体の熱を奪っていった。

トレーナーの袖を最大限に伸ばして、何とか手だけでも隠してみた。

「ごめん!委員会長引いて遅れた!」

慌てた様子の彼が体育館に姿を現した。

「伊月くんすぐ入れる?」

「ああ。軽くストレッチしてきたからいけるよ。」

やっぱり会えるのは嬉しくて、彼と目が合った時私は自然と笑顔になった。

「、これ着てな。」

彼は手に持っていたジャージを私に預けた。

「えっ!?でも俊くんが困るでしょ?」

「俺はこれから練習だから大丈夫。…寒いんだろ?」

私の頭にぽんっと手を置いてから、彼は皆の元へと合流していった。

「寒い」って言葉にしなくても気付いてくれた優しさに感謝。

リコが皆に指示をしに行った隙に、私は彼のジャージに袖を通した。

ふわりと優しい柔軟剤の香りがして。

袖は引っ張らなくても私の手をすっぽり包むほど。

裾は私のお尻を隠すほど。

着た感触もだぼっとしていて、やっぱり大きい。

ぶかぶかの上着は彼そのもの。

15cmという身長差をこんな形で感じられるなんて。

何だか恥ずかしくて、でも嬉しくて。

「…熱い。」

「、見せつけないでくれる?」
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