第1章 身長差の恋*伊月*火神*木吉
<ぶかぶかの上着は彼そのもの/伊月>
季節が少しずつ移り変わって、冬の入り口に差し掛かった日。
今日もこれから部活だというのに。
「あっ!」
「、どうしたの?」
女子更衣室でバッグを開き呆然とする私に、リコが気が付いて声をかけてくれた。
「ジャージの上着忘れた…。」
この頃トレーナーでは肌寒くなってきていて。
昨日の天気予報でも「明日は冬の足音がまた一歩近付いてくるでしょう。」なんて言ってたから、上着出しておかなくちゃと思っていて…。
寝落ち。
「あらら…。私の貸してあげたいけど、さすがに今日は着てないと体育館冷えそうだし…。」
「大丈夫!暖かくなるように動くから!」
自分のミスが気恥ずかしくて、リコに気を遣わせないように笑ってみせた。