第46章 Merry Christmas!2013*紫原*
翌日、一段と寒くなったその日に私は待ち合わせ場所で彼を待っていた。
「さむ…。」
早く来ないかな、と体を縮めていると、急に体が冷気から遮られ、後ろから腕の中に閉じ込められた。
「ちん、お待たせー。遅くなってごめんね。」
見上げれば他の人よりもかなり大きな彼が、私を抱き締めていた。
「…外では抱きつかないでって言ってるのに。」
「えー?結局いっつもちんそう言って嬉しそうなんだけど。」
…図星だ。
人に見られているような気がして恥ずかしいけど、単純に彼に抱き締めてもらうのは好き。
「…うるさいなぁ。とりあえず行こっか。」
「うん。はい、じゃ手繋ごー。」
当たり前のように差し出される大きな大きな手をとると、そっと優しく握り返してくれた。
一足早いクリスマスデートだけど、街はすっかりクリスマスムード一色で。
街路樹には装飾が施され、町中が宝石箱をひっくり返したかのようにキラキラ輝いていた。
「今日はどこでご飯食べるんだっけ?」
「んー?前に室ちんと行ったパスタのお店。デザートも美味しいのいっぱいあるんだよねー。ちんパスタ好きでしょ?」
「うん。敦が気に入ってるなら、デザートも期待しちゃうな。」
敦はぼんやりしてるけど、意外と私のことちゃんと見てる。
好きなものとか、ちょっとした表情の変化とか、気付いてくれているところが嬉しい。