第44章 囚われの姫君*青峰*
トイレから出て一応藍川さんを待ってみるけど、中々出てこない。
…もしかしたら先に行ったのかな。
大輝のところへ戻ろうと、歩みを進めようとした。
すると、不意に後ろから来た誰かに体を取り押さえられ、口を塞がれた。
必死に声にならない声を出そうとする。
「んー!んー!」
「黙ってた方が身のためだぞ。」
聞き覚えのない低い声に体は凍りつき、首筋に刃物を当てられた。
視界は布を巻き付けられて遮られる。
手首は後ろから誰かに捕まれていて動かせない。
周りから見えないように背中に刃物を突き付けられながら、私は外へと連れ出された。
大輝…助けて!
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「、おせぇな…。」
青峰は中々戻らないを気にかけていた。
トイレに行ってからそろそろ30分になろうとしている。
の携帯に電話をかけても、「電源が入っていない」という電子的な声が聞こえるだけ。
…さっきは普通に携帯を使ってただろ。
青峰は藍川の携帯に電話を掛けた。
「もしもし、青峰どうしたの?」
「藍川、お前って知らないか?」
「え?私先に出ちゃったからわかんないなぁ。彼女さんいなくなっちゃったの?」
「あぁ。もう少し探してみるわ。」
電話を切って、青峰は敢えての質問に対する藍川の答えに違和感を感じていた。
今度は別の相手へと電話を掛けた。
「…もしもし。細かいことは後で説明するから、車出してくれねぇか?が危ないかもしれない。」