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黒子のバスケ*Short Stories2

第42章 ぬくぬくしたい*木吉*


散歩のついでに買い物もして、鉄平の家に帰ってきた。

然り気無く重たい袋を持ってくれるあたり、やっぱり優しいなって実感した。

簡単だし鍋にしようということで、夜ご飯は寄せ鍋。

さすがスポーツ選手と思わせる食べっぷりに、つい見とれてしまった。

「食い過ぎたな…。苦しい…。」

「そりゃあれだけ食べればそうなるって。」

食べすぎて炬燵で倒れ込んでいる鉄平を見て、思わずくすくす笑ってしまった。

「と食べるといつもよりも美味く感じるんだから仕方ないだろう。」

…お願いだから、そんなに真剣に言わないで。

嬉しいけど恥ずかしくて火照ってしまった顔を隠すように、台所をお借りして片付けを始めた。

…あれ?いつもなら手伝いに来てくれたり、「後でやるからそのままでいいぞ」とか言ってくれるのに。

片付けを終え、リビングに戻ると炬燵で眉を下げて寝息を立てる鉄平が見えた。

「鉄平、炬燵で寝ると風邪引くよー?」

ぽんぽんと軽く叩いてみても、起きる気配はない。

とりあえずおばあちゃんのブランケットらしきものを外に出てしまっている肩にかけた。

テレビを観ながら横目で鉄平を確認しても、全く目を覚ます様子はない。

何だか寂しくなってきて、でも起こすのもどうかと思って、一度炬燵を出て鉄平の隣に潜り込んだ。

手で鉄平の頬をそっと撫でてみる。

やっぱり触れられる距離にいられる方がいいな。

鉄平の広い胸に顔を埋めて、寄り添ってみる。

すると、急にがっしりした腕が私を捕らえて離さない。

「はやっぱり抱き心地がいいな。」

ぱっちり目を開けた鉄平が私の頭に顔を寄せた。

「ちょっ…!いつから起きてたの!?」

「最初から起きてたぞ?」

まんまと、騙された!

悔しいはずなのに、抱き締められるのは嬉しくて落ち着いて抵抗できない。

もう少しだけこうしていたくて、大きな背中に腕を回した。

炬燵で暖まった体はまるで日だまりみたい。

年明けの、のんびりした穏やかな時間。

明日までは、ぬくぬくしたい。

「やっぱり冬は炬燵だな。…そうだ!みかんあるけど食うか?」

「食べる!」
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