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黒子のバスケ*Short Stories2

第39章 前後から伝わる気持ち*高尾*


「そういえば緑間くん送らなくて良かったの?」

いつもは朝も帰りもチャリアカーで緑間くんを乗っけて送り迎えをしている彼。

緑間くんがじゃんけん強すぎて、いつも漕ぐ側になってしまうそう。

「なんか真ちゃん、「テスト前に一日の始まりと終わりにお前の馬鹿面なんぞ見てられないのだよ。」って言っててさ。…まぁ、あいつなりに気ぃ遣ってくれたんじゃねぇかな。」

緑間くんの話をする時の彼はいつも楽しそうで、冗談だけど少し妬けちゃうくらい。

「じゃあ緑間くんに感謝しなくちゃ。…私、不謹慎だけど和くんと一緒に帰れて嬉しいもん。」

腕に少しだけ力を込めて、顔も彼の体に寄せた。

その時、彼が何かを呟いたような気がしたけど、よく聞こえなかった。

「何か言った?」

「え?何も言ってねーよ?」

思い過ごしだったのかな、まぁいっか。

二人で自転車に乗って帰る時、必ず彼は少しだけ遠回りをして、学校の最寄りの駅じゃなくて一つ前の駅まで送ってくれる。

わざわざ理由は聞かなくていいかな、と思う。

きっと「少しでも長く二人でいたい」って彼も思ってくれているということだから。

冷たい風が顔に当たるけど、前にいる彼がほとんど遮ってくれている。

それなのに、私が寒くないかって気遣ってくれる優しさが嬉しい。

「…大好き。」

風の音でかき消されてしまうほどの声で、そっと呟いた。
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