第39章 前後から伝わる気持ち*高尾*
「ちゃん、お待たせ!帰ろうぜー!」
人も疎らな教室で待っていると、掃除を終えた彼が飛び込んできた。
駐輪場に彼の自転車を取りに行き、校門を出て少し離れたところで後ろに座った。
無条件で彼にくっつけるから、駄目だとわかっているけど二人乗りは止められない。
「ちゃん寒くね?大丈夫?」
「大丈夫だよ。和くんこそ寒そうだけど…。」
私はコートを着て、手袋・マフラー・タイツの完全防備だけど、彼は学ランに手袋・ネックウォーマーのみ。
「余裕っしょ。まぁ、ちゃんがぴたーっとくっついててくれれば背中は暖かいけど。」
「…じゃあぎゅってする。」
腕を回して身体を彼の背中に寄せる。
温もりがじんわり伝わって、心まで暖かくなった。
彼は私の重さも抱えてペダルを踏んだ。
「あー!テスト3日前だからって部活休みとかねぇわ。バスケしたい!」
「朝練はしてるでしょ?」
「それじゃ足りないの。やっぱがっつりやらねーと、調子出ねぇ。」
根っからのバスケ好きなんだな、と改めて実感した。
一緒に帰れるの嬉しいって思っちゃうのは不謹慎かな?