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黒子のバスケ*Short Stories2

第37章 不器用な君と/笠松*宮地


本屋さんを出てまた並んで歩いているけど、清志がいつもよりも眉間に皺を寄せている。

会話もないし、手も繋いでくれないし。

「ねぇ、清志。なんか怒ってる?」

何だか重苦しい沈黙に耐えかねて、私から切り出した。

「…怒ってねぇよ。」

清志は一切私と目を合わさずに、地面を見つめて呟いた。

「清志って嘘吐いてる時、絶対私と目合わせないよね。」

付き合い始めてからどれくらい経ってると思ってるの?

些細な癖だってすぐわかるんだから。

すると、清志がばつが悪そうな表情を浮かべて、口を開いた。

「…お前さ、他の男に見惚れんなよ。」

一瞬言われたことの意味がわからず、間が空いてしまった。

「へ?…もしかしてさっき私が読んでた雑誌のこと?…てか、そう言うなら清志なんかいつもじゃん!」

自分のことは棚に上げて言うなんて、ずるい。

別にみゆみゆに嫉妬なんかしないけど、私を放ってみゆみゆに見惚れるのはやっぱりちょっと切ないんだよ?

「俺はいいんだよ。…お前は俺だけ見てろ。」

本当に自分勝手なんだから。

そんなこと言われなくても、私がいつも見てるのは清志だけ。

とりあえず今はまた差し出された手を繋いで、隣にいられる幸せとなぜか嬉しい独占欲を噛み締めよう。

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