第34章 そっとぎゅっと*水戸部*
「水戸部くん…ごめんなさい。私、やっばり水戸部くんのこと好き。別れるの…取り消してもいい?」
彼の腕の中に包まれたまま、今度はきちんと目を見て言葉にした。
すると、彼は頬を染めてはにかむように笑みを浮かべた。
嬉しそうな表情から、私と同じ気持ちでいてくれているのがわかる。
そして、もう一度彼は抱き締める腕に力を込めた。
「僕も好きだよ。」って言っているみたい。
だから、私も彼の広い背中に返事をするように腕を回した。
これから不安になった時は、彼におねだりしよう。
「ぎゅってして?」って。
人間は欲張り。
だけど常に謙虚に穏やかに。
沈黙すら愛しい時間にしていこう。